永久歯への生え変わりが終わる中学生のなかには「そろそろ矯正のタイミングかも」と思う人も多いでしょう。
歯の矯正のタイミングは、永久歯にすべて生え変わることや骨の成長などの身体面、そして矯正治療への通院面から、中学生の時期が適しているといわれます。
しかし、中学生の時期はさまざまな出費が重なる時期でもあり、費用が高額な矯正治療に踏み切れずにいる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、中学生の歯の矯正費用の話を中心に、中学生で矯正治療を受けるメリット・デメリットについても解説していきます。
Contents
中学生の矯正治療の種類を解説
まずは矯正費用の前に、中学生の矯正にはどのような種類があるのかについて解説していきます。
先に矯正費用のことが知りたい人は、こちらからどうぞ。
中学生の矯正の種類 |
1.ワイヤー矯正 ・表側矯正 ・裏側矯正 ・ハーフリンガル矯正 |
2.マウスピース矯正 |
これらの矯正治療からさらに、歯全体を治療する全体治療と、前側の歯だけもしくは気になる歯だけを治療する部分治療に分かれます。
矯正治療にはいくつか種類があるため、どれを選べば良いか迷ってしまうと思いますが、矯正をする人の性格や生活スタイルが矯正方法に合っているかを参考に選んでいきましょう。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は動かしたい歯の一つ一つに「ブラケット」と呼ばれる器具を装着し、そこにワイヤーを通す治療法です。
ワイヤーを使って、歯を動かしたい方向に適度な力を加えることで徐々に歯並びを整えていきます。
一般的に治療期間は6か月~3年といわれています。
ワイヤー矯正のメリットとデメリットはこちらです。
メリット |
デメリット |
・さまざまな歯並びに対応できる ・細かい調整がしやすい |
・矯正装置が目立ってしまう ・食事や歯磨きがしづらい ・痛みや違和感を感じやすい |
矯正装置が目立ってしまうため嫌がる中学生は多いかもしれませんが、ブラケットとワイヤーの種類を変更することで悩みが解消できることもあります。
ワイヤー矯正を希望する人は、歯科医院で相談してみましょう。
ワイヤー矯正には、装着する部分によって3種類に分けられます。
・表側矯正
・裏側矯正
・ハーフリンガル矯正
それぞれについて解説していきます。
表側矯正
歯の表面にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。
歯の矯正治療において一般的な治療方法で、歯の大きな移動が必要な症例などさまざまな歯並びに対応できるという強みがあります。
しかし、矯正器具が目立つため中学生では嫌がる人もいるかもしれません。
裏側矯正
歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。
表側矯正に比べて、矯正器具が目立たないのが特徴です。
しかし、矯正器具がオーダーメイドとなるため表側矯正に比べて費用が高額になることや、器具に舌がぶつかって発語がうまくできないこと、歯磨きが十分できずに虫歯の原因になるというデメリットもあります。
また、裏側矯正には高度な技術が必要なため取り扱っていない歯科医院があったり、歯並びによっては治療が受けられないこともあります。
ハーフリンガル矯正
上の歯は裏側、下の歯は表側にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。
表側矯正のデメリットである矯正器具が目立つこと、裏側矯正のデメリットである舌が器具にあたって発語がしにくいこと、両方とも解消できる方法です。
費用も裏側矯正に比べると安く済みます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を使い歯を動かす矯正方法です。
ワイヤー矯正と違い周りから気づかれにくいため、周りの目を気にすることなく矯正治療が受けられるのが大きなメリットです。
1日20時間以上の装着が必要ですが、食事中に取り外しができることで食べ物が食べにくいということもありません。
歯磨きのときも取り外せるため虫歯のリスクが少なく、装着中の痛みが少ないことも嬉しいポイント。
しかし、装着時間が短かったり、歯並びの形によっては思うような矯正ができないこともあるため注意が必要です。
中学生の矯正治療費用を比較
中学生の矯正治療費用の目安はこちら。
表側矯正 |
30~130万円 |
裏側矯正 |
40~170万円 |
ハーフリンガル矯正 |
35~150万円 |
マウスピース矯正 |
30~100万円 |
矯正治療は一般的に保険外診療となるため、同じ治療方法でも歯科医院によって治療費用は異なります。
また、それぞれの治療法で全体治療か部分治療かによっても金額に差があります。
矯正治療費以外に費用はかかる?
矯正治療の費用は、治療開始から終了まですべての金額が含まれる場合と、その都度調整代や検査代などが発生する場合に分かれます。
治療を受けるクリニックがどちらの費用を提示しているか、確認しましょう。
その都度、費用が発生する場合の目安となる金額はこちらです。
精密検査費 |
0~30,000円 |
毎月の調整費 |
3,000~5,000円/回 |
保定装置代(リテーナー) |
30,000~60,000円 |
保定観察費用 |
3,000~4,000円/回 |
実は、矯正治療は装具を外したら終了ではなく、歯の位置を固定するために「保定期間」をとらなければいけません。
保定期間にリテーナーを装着するのですが、そのリテーナーの費用とその後の通院にも費用がかかることがあるため注意しましょう。
中学生が矯正治療を受けるメリット・デメリットを解説
矯正治療を始める時期は、中学生の頃が適しているといわれますがその理由は何なのでしょうか?
中学生が矯正治療を受けるメリット・デメリットから探っていきます。
メリット
中学生が矯正治療を受けるメリット |
・矯正治療の効果が出やすい ・治療期間が短い ・虫歯予防 ・コンプレックスを早めに解消できる |
5.6歳の頃から歯が抜けはじめ、全ての歯が永久歯になるのが12~13歳といわれています。
永久歯がすべて生えそろうことで、大きく歯を動かす矯正治療が可能となるのです。
矯正治療は、歯を動かしたい方向に適度な力を加えることで、徐々に歯並びを整えていく治療法です。
そのためには歯を支える骨である「歯槽骨」の一部を溶かし、動かした先で再度骨を形成する必要があります。
この作業の繰り返しによって、歯並びを整えていくのです。
中学生の時期は骨も成長段階のため柔らかく、歯を移動させるのに適した時期だといわれています。
新陳代謝も活発な時期のため「歯を溶かして新しい歯を形成する」こともスムーズです。
これらのことから、治療の効果がでやすく、治療期間が短くなるといわれています。
また、歯並びが悪いと虫歯のリスクは高くなります。
早めに矯正治療を受けることで、虫歯予防ができることもメリットの1つでしょう。
そして、中学生以降は受検・就職の面接や人前に立つ機会が多くなります。
歯並びが悪いことをコンプレックスに思っている人が人前に立ったときに、口元を隠したいという思いや見られたくないと思い、本来の自分を出せない可能性も考えられます。
日常生活でも、会話の時に相手の目線が気になることもあるでしょう。
コンプレックスを早めに解消することが、人生の節目でより良い方向に進むきっかけになるかもしれません。
デメリット
中学生が矯正治療を受けるデメリット |
・痛みや違和感で学生生活を満喫できない ・費用が高額 |
中学生での矯正治療で問題となるのが、高額な治療費。
治療期間には進学でまとまったお金が必要となる時期が重なるため、大きな出費は避けたいと思う人もいるでしょう。
しかし、中学生の頃は治療期間が短くなるともいわれているため、今後どこかのタイミングで矯正治療をするのであれば中学生のうちに受けた方が費用面で助かる可能性もあります。
矯正治療による痛みや違和感から、学生生活を思いっきり楽しめない可能性もあります。
管楽器を扱う吹奏楽の部活に入っている人は、ワイヤー治療を選択すると矯正器具が演奏の妨げになることもあるため注意しましょう。
矯正治療を始める前に、ライフスタイルと矯正によるデメリットを照らし合わせて治療時期や治療方法を選択していくことが重要となります。
高額な矯正費用はどう払う?保険診療や医療費控除は使えるの?
中学生から矯正治療を始めると、治療途中には進学などの大きな出費のタイミングと重なってしまいます。
高額な矯正費用の支払いについて悩む人もいるでしょう。
その悩み、医療費控除や支払い方法を工夫することで解決できるかもしれません。
医療費控除対象の歯科矯正は?
「発語がうまくできない」「噛み合わせに問題がある」など機能的な問題で治療が必要と判断された場合は、医療費控除の対象になります。
中学生での矯正治療の場合、治療開始時点で機能的な不具合がなくても「成長に影響があるかもしれない」という点から、医療費控除の対象になることが多いといわれています。
医療費控除の対象となる費用はこちらです。
医療費控除の対象となる費用 |
・診察代 ・検査費用 ・矯正装置の費用 ・調整量・処置料 ・薬代 ・通院のための交通費 |
通院のための交通費とは、公共交通機関を利用した場合に発生する料金のことです。
自家用車のガソリン代や駐車料金は対象とならないため注意しましょう。
保険診療で受けられる矯正治療はあるの?
歯科矯正は基本的に保険外診療での治療となりますが、一部保険診療対象となる場合があります。
保険診療で受けられる症例はこちらです。
①「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療 ②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療 ③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療 |
(引用元:日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」)
保険診療で矯正治療を受ける場合、治療が受けられる施設が決まっており、希望する矯正方法を選べない可能性があるというデメリットもあります。
支払い方法を工夫しよう
治療費の支払いは、治療の度にかかった費用を支払う方法や治療開始前もしくはすべての治療が終わったタイミングで費用を一括で支払う方法など、病院によってさまざまです。
治療をすることに決めたら、どのような支払い方法があるのかも歯科医院に確認しましょう。
一括支払い設定している歯科医院で、大きなお金をすぐに準備することが難しい場合は分割払いを利用する方法があります。
分割払いは毎月の返済金額と返済期間の設定ができるため、家計に合わせて支払いができ治療へのハードルも下がるのではないでしょうか。
分割支払いでは医療費控除が使えないのでは?と心配になるかもしれません。
毎月の支払い金額が少額でも、年間で医療費が10万円を超えていたら医療費控除の対象となるため申請を忘れないようにしましょう。
これから、分割払いにする方法3つを紹介していきます。
1つめは、クレジットカードのローンを組むこと。
クレジットカードを持っていて、ローンの許可が下りれば分割払いが可能です。
しかし、クレジットカードのローンは金利手数料が高いことがデメリットです。
2つめに、デンタルローンを組むこと。
デンタルローンは歯科治療に特化したローンで、クレジットカードに比べて金利手数料が安価なことがメリットです。
3つめに、病院独自の分割払いシステムを利用すること。
これは、病院によって行っていないこともあります。
分割払いを採用している歯科医院の多くは、手数料をとらずに分割払いができるようになっているため3つの方法の中で一番安く分割払いが可能です。
中学生の矯正治療は費用面であきらめずに、子供の将来をつないでいこう
中学生での矯正治療は、体の成長と通院の2つの理由から開始するタイミングに適しているといわれています。
学生の間は大きな出費があるタイミングがあるため、費用面で矯正治療を迷う人もいるでしょうが、医療費控除の利用と支払い方法を工夫して治療を前向きに検討していきましょう。
治療を先延ばしにした場合、骨の成長が進むことで中学生の時期ほど治療の進みがよくないことも考えられます。
どのタイミングで治療を開始するかは、治療を受ける本人と治療をする医師と相談して、よい時期を探していきましょう。