「ディープバイト(deep bite)」と呼ばれる噛み合わせをご存じでしょうか? 日本語に訳すと”深咬み”、専門的には「過蓋咬合(かがいこうごう)」と呼ばれる噛み合わせの異常です。
”深咬み”と訳されるように、この噛み合わせは上の前歯が下の前歯を深く覆い被さるように噛んでいます。過蓋咬合は放置すると上の前歯や顎の関節へのダメージが大きくなるため、注意が必要な不正咬合の1つです。
今回はこの過蓋咬合、ディープバイトについて原因やリスク、治療法などを名古屋プルチーノ歯科・矯正歯科が解説していきます。
Contents
過蓋咬合(ディープバイト)ってどんな歯並び?
まずは、過蓋咬合とはどのような歯並びで、どんな基準で診断されるかを詳しくご紹介しましょう。
過蓋咬合(ディープバイト)の診断基準|前歯の位置関係を示す指標「オーバーバイト」
過蓋咬合は上の前歯が下の前歯が見えなくなるほど深く覆いかぶさっている歯並びです。
その具体的な位置関係を知る指標の1つに「オーバーバイト」というものがあります。
オーバーバイトは上下の前歯の重なり具合から噛み合わせの深さを診る指標です。正常な歯並びのオーバーバイトは2~3mm、上の前歯の先端が2~3mmほど下の前歯に重なるのが正しい位置とされています。
この数値が大きくなるほど噛み合わせが深いことをあらわし、上の前歯が下の前歯の2/3以上を覆った状態を「過蓋咬合(ディープバイト)」と呼んでいます。
ちなみに、これとは反対にオーバーバイトがマイナスになるのが、上下の前歯が噛み合わない開咬(オープンバイト)と呼ばれる状態です。
過蓋咬合(ディープバイト)でみられる症状
過蓋咬合では「上の前歯のせいで下の前歯が見えない」という見た目以外に、以下のような症状がみられます。
・下の前歯が上の前歯にかくれて見えない
・下の前歯が上の前歯の裏側の歯ぐきに当たって痛い
・顎がうまく動かせない
過蓋咬合(ディープバイト)の原因
過蓋咬合の原因には以下のようなものがあります。
原因①上顎が大きい(過成長)もしくは下顎が小さい(劣成長)
成長期に上顎が大きく成長しすぎる、あるいは下顎の成長が不足するなどで顎の大きさや位置のバランスが悪くなると、過蓋咬合を生じます。
原因②奥の乳歯が早くに抜けてしまった(早期喪失)
虫歯などが原因で奥の乳歯(乳臼歯)が早くに抜けてしまった場合、そのまま放置すると噛み合わせが低くなって過蓋咬合を引き起こすことがあります。
原因③歯ぎしり・食いしばり
日常的に歯ぎしりや食いしばりをすると、少しずつ奥歯が削れて噛み合わせが低くなり、過蓋咬合になるリスクが高くなります。
過蓋咬合(ディープバイト)のリスク
過蓋咬合をそのままにしておくと、次のようなデメリットやリスクがあるため注意が必要です。
リスク①上の前歯の裏側の歯ぐきが炎症を起こしやすい
過蓋咬合では下の前歯の先端がが上の前歯の裏側の歯ぐきに当たりやすく、その刺激により炎症が起こってしまいます。そこに歯周病を発症してしまうと、通常よりも病状が進行・悪化しやすくなります。
リスク②出っ歯になりやすい(出っ歯に見える)
過蓋咬合では下の前歯が上の前歯を裏側から突き上げてしまうことが多く、これにより上の前歯が前方に傾いて出っ歯になる場合があります。
また、出っ歯にはならない場合でも、上の前歯が大きく目立ち出っ歯のように見えてしまうこともあります。
リスク③顎関節症になりやすい
過蓋咬合では上の前歯が下の前歯に深く被さることで、下顎の動きに制限がかかります。そうすると顎の関節(顎関節)にも大きな負担がかかりやすく、顎関節症のリスクが高くなります。
リスク④詰め物や被せ物が外れたり壊れたりしやすい
噛みこみが深くなる過蓋咬合は、歯にも強い力がかかります。そのため、歯科治療で入れた詰め物や被せ物がすぐに壊れたり外れたりしやすくなります。
リスク④ガミースマイルになることがある
上の前歯が下のほうに伸びている過蓋咬合では、それに合わせて歯ぐきも下方に位置します。これにより、笑った時に歯ぐきが大きくみえる「ガミースマイル」になることがあります。
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過蓋咬合はどう治す?治療法について
過蓋咬合は矯正治療の改善が可能です。矯正治療では前歯を沈める、または奥歯を引き上げる治療のほか、前歯の傾きを調整するなどして噛み合わせを正常な状態に導いていきます。その具体的な方法には次の治療法があります。
治療①ワイヤー矯正
歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を取り付け、そこに細いワイヤーを通して歯を動かします。矯正治療では最もオーソドックスな治療法で、適応範囲も広いのが特長です。
近年は白いブラケット、白いワイヤーなどで目立ちにくい装置も誕生しています。
治療②マウスピース矯正
数十枚のマウスピースの装着・交換を繰り返しながら歯並びを改善する治療法です。マウスピースは薄く透明なので装着しても目立たず、違和感や痛みも少ないのが特長です。
過蓋咬合をマウスピース矯正で治すのは難しいとされていましたが、近年は適応範囲も広くなっているため、症状によってはマウスピース矯正で改善できる場合があります。
また、マウスピース矯正単独での治療が難しい場合は、ワイヤー矯正を併用して改善を図っていくことも可能です。
治療③歯列矯正での改善が難しい場合は外科手術が必要
上顎の過成長や下顎の劣成長など、骨格的な問題のある過蓋咬合は歯列矯正での改善が難しくなります。
このようなケースでは、顎の位置関係を正常に戻す外科手術による改善を図っていきます。
過蓋咬合に関するQ&A
ここでは、過蓋咬合でよく聞かれるご質問とその回答をご紹介します。
Q.過蓋咬合の治療にはどれくらい期間がかりますか?
A.過蓋咬合の治療期間は、最初の症状によって異なります。おおよその目安は2~3年程度ですが、症状が重いケースや外科手術をともなうようなケースでは、さらに期間がかかってしまいます。
Q.過蓋咬合を矯正治療で治すと「顔が変わる」「顔が伸びる(面長になる)」と聞いたのですが、本当でしょうか?
A.基本的にはそれほど大きく変わりません。奥歯の噛み合わせが低いケースでは多少の変化はありますが、極端に顔が伸びるということはないためご安心ください。
Q.子供が過蓋咬合かもしれません。早めに治しておいたほうがいいですか?
A.過蓋咬合はできるだけ早い時期の治療が望ましいでしょう。まだ成長途中の子供の場合は、顎の成長にアプローチしながらの改善が可能です。
反対に、大人になってからだと治療に時間がかかったり、場合によっては外科手術が必要になったりするケースもあります。したがって、過蓋咬合の疑いがある場合は早めに矯正歯科に相談し、治療を始めることをおすすめします。
まとめ|過蓋咬合のお悩みは名古屋プルチーノ歯科・矯正歯科にご相談ください
名古屋プルチーノ歯科・矯正歯科では世界シェアNo.1のマウスピース矯正「インビザライン」をご提供しております。
過蓋咬合はかつて「マウスピース矯正での改善が難しい」とされていましたが、インビザラインの適応範囲が広がったことで近年は治療可能なケースも増えてきました。
また、インビザライン単独での治療が難しいケースでは、ワイヤー矯正の併用による治療も行なっております。
当院では初回限定の無料矯正相談を実施しております。「自分は過蓋咬合かも」「ディープバイトを治す具体的な治療法が知りたい」など何でもお気軽にご相談ください。