
歯科矯正治療が完了した後の後戻り
矯正歯科治療では、歯並びや顎骨などに外部から力を加えたりすることで、歯や顎の位置を整えていきます。しかし人間はそれぞれ個人にあったバランスがあり、外から力が加えられたとしても元に戻そうとする力が自然にかかるのです。
傷を治したりする治癒能力と同じようなものでありとても重要な能力なのですが、矯正歯科治療の場合は元に戻らないようにしなければなりません。
矯正歯科治療の後にこの現象が起こり、歯並びなどが元に戻ってしまうことを「後戻り」と呼びます。
後戻りをしてしまうと前歯が出っ歯などになってしまい治療期間が伸びてしまったり、放置した期間が長かった症例では、最初から再び矯正治療をやり直ししなければいけないことも考えられます。
再度治療することになってしまうと、治療期間も費用も余計に増えてしまい、患者さんの負担が大きくなってしまいます。
そのため、矯正歯科治療の歯列矯正での工程には歯を積極的に動かして整える為の期間(動的期間)と、歯が動いて体になじむように安定するまで固定する期間(保定期間)があります。
このような理由から、矯正歯科治療は長い期間を要することが一般的です。
この記事では、矯正歯科治療が完全に完了するまでの工程をご紹介します。
Contents
ワイヤー矯正治療法の工程(動的期間と保定期間)
ワイヤー矯正治療法は、歯にブラケットという装置を装着し、そこにワイヤーやゴムなどをかけて治療を行います。ワイヤーやゴムは歯に強い力をかけて歯を動かしていくため、広い範囲の歯を動かすことができます。
しかし、装着した装置が見た目に目立ってしまう事や装置が口の中などに当たって傷つけたり痛みが出やすいことなどがデメリットです。また、患者さん自身で矯正装置の着脱ができないため、歯ブラシや食事などがしづらいなどの問題点もあります。
①カウンセリング・口腔内写真・機能検査など
初診では、患者さんの現在の歯並びや顎や咬み合わせなどの機能の状態を確認します。そして、患者さんの治療に関する要望や相談などを聞きながら、歯科医師がさまざまなことを考慮したうえで矯正治療の計画を作成します。
患者さんの症例によっては、歯を動かして整列させるためのスペースを確保する等の理由で、矯正歯科治療を始めるまえに親知らずなどを抜歯することもあります。
②装置の装着
特殊な接着剤で、歯に直接ブラケットを接着します。ブラケットにはくぼみがあり、そこにワイヤーを他の歯と繋げるように装着し、その上から細いワイヤーで固定します。ブラケットはいろいろな素材があり、表からは目立ちにくいように透明に近いものもあります。
また、患者さんが目立つのを避けたい場合や唇などを傷つけるのを軽減したい場合には、治療に有効であると歯科医師が検討し判断した場合には、内側(舌側)に矯正装置を装着することを選ぶケースもあります。(裏側ワイヤー矯正治療法)
③装置の調整・メンテナンス
定期的に歯科に来院し、歯の動きなどの治療の進行具合を確認します。診療室では状態に合わせて装置の調整をしたり、ワイヤーなどの装置を付け替えるなどの治療をします。
また、ワイヤー矯正治療の場合には患者さんが取り外しができないので、口の中に食物残差などが多く残ってしまいやすい状態になっています。そのため、歯科医院で専門的な口腔ケアを行うことで虫歯や歯周病を予防します。さらに、歯科医院で矯正器具が原因で口の中に傷などができていないかなどの確認を行われたり、歯磨き指導などを受けることも大切です。
1か月〜数か月ごとに来院し、治療を進めていきます。治療の進み具合によっては装置を交換したり、それとは別に患者さんが次回の来院までの間に家でゴムを装着するなどの治療法が追加が選択される場合もあります。
④保定期間
歯を動かして歯列が整い、噛み合わせなどに問題がなければ、保定期間に入ります。保定(ほてい)とは、歯科矯正治療によってきれいに並んだ歯が元の位置に戻らないように、現状を維持するために保定装置(リテーナー)を使って歯並びを安定させるための期間です。
マウスピース矯正法(動的期間と保定期間)
マウスピース矯正治療法は、その名の通りマウスピースを装着することで歯科矯正治療を行います。マウスピースの形に合わせて歯並びを少しずつ動かしていくので、あまり強い力をかけることはできません。そのため、部分的な矯正治療に向いています。また、1日のうち指定された時間のみマウスピースを装着するので、食事や歯磨きなどをする際には取り外して行うことができます。
マウスピースは透明に近い素材なので、装着していても目立ちにくく治療のストレスを軽減できるという特徴があります。
プルチーノ歯科・矯正歯科では、最新のマウスピース矯正「インビザライン矯正」を導入しています。インビザライン矯正に関する知識と経験・技術が認められたインビザドクターが治療をおこないます。
①カウンセリング・口腔内写真・機能検査など
ワイヤー矯正治療法と同じように、治療を開始する以前に、患者さんの現在の歯並びや顎や咬み合わせなどの機能の状態を確認します。そして、患者さんの治療に関する要望などを聞きながら、歯科医師が矯正治療の計画を作成します。
患者さんによっては、矯正歯科治療を始めるまえに歯を抜歯することで、歯を動かして整列させるためのスペースを確保することもあります。
プルチーノ歯科・矯正歯科が導入しているインビザライン矯正では、矯正治療を始める前の無料相談を行っています。3Dスキャナーを使って口腔内の情報をコンピューターに取り込みます。現在のお口の中の歯並びなどの状態をコンピューター上で見ながら、インビザライン矯正終了後の結果の状態までをシミュレーションすることができます。そのため、最初から完成図を確認しながら治療を始めることができるので、治療内容を確認して納得した状態で安心して治療を始めることができます。
24時間webサイトからアクセスして矯正相談の予約ができますので、ぜひご利用ください。
②マウスピース作成・装着
歯型を取り(印象採得)、それを基にマウスピースを作成します。マウスピースは少しずつ形態が異なるものに交換していくことで、少しずつ理想の歯並びに近づけていきます。
プルチーノ歯科・矯正歯科で導入しているインビザライン矯正では、3Dスキャナーで取り込んだデータを基に、マウスピースを作成します。印象採得よりも精密に口の中の状態が把握でき、より正確なマウスピースを作ることができます。また、治療の最初に完成までのマウスピースを作成して患者さんにお渡しします。
③メンテナンス・マウスピースの交換
マウスピース矯正の場合でも、ワイヤー矯正治療法と同じように定期的に歯科医院でのメンテナンスを受ける必要がありますが、ワイヤー矯正治療法に比べると頻度が少なく、自宅でのセルフメンテナンスが重要です。マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも比較的歯の汚れなどがつきにくいため、専門的クリーニングの頻度を抑えることができ、また装置の調整などをすることも少ないからです。
しかしながら、着色の除去や歯石の除去も重要ですし、治療経過の確認も重要なので指示された期間で必ず歯科医院に通うことをおすすめします。
マウスピースは数週間程度ごとに、歯科医師に指示されたタイミングで交換していきます。
④保定期間
歯を動かして歯列が整い、噛み合わせなどに問題がなければ、保定期間に入ります。保定(ほてい)とは、歯科矯正治療によってきれいに並んだ歯が元の位置に戻らないように、現状を維持するために保定装置(リテーナー)を使って歯並びを安定させるための期間です。
プルチーノ歯科・矯正歯科で導入しているインビザライン矯正では、最初に作成したシミュレーションと治療をした後の歯並びや噛み合わせの状態を確認して問題がなければマウスピース(リテーナー)を新たに作成し、一定期間使用することで現在の歯並びを安定させ後戻りを防ぎます。
後戻りしないために気を付ける事
①通院は必ず歯科医師に指示された頻度で通う
矯正歯科治療中は、クリニックに定期的に通院することで後戻りを予防することができます。
これは、矯正歯科治療の経過を確認して器具を調整したりすることで、効果的に治療を進めるためです。歯並びが少し戻ってしまった場合でも早く発見して対応できれば問題なく治療を進めることが可能なので、治療期間を伸ばさないためには非常に重要です。
②歯磨きなどの口の中の状態を気を付けて行う
矯正歯科治療の後戻りを防ぐためには、お口の中の状態を整えることも重要です。虫歯や歯周病などが発生してしまった場合は、その治療のために矯正歯科治療が長引いてしまったり中断を余儀なくする場合があります。その処置が影響して、その期間にせっかく動かした歯が後戻りをして矯正治療が失敗してしまう可能性が高くなってしまいます。
そのため歯科医院でのメンテナンスに加え、患者さんご自身が自宅でのお口のホームケアを普段以上にしっかりと行うことが重要です。
ワイヤー矯正治療法の場合はセルフケアが難しく、虫歯や歯周病になってしまうリスクも高く注意が必要ですが、マウスピース矯正治療法ではセルフケアをマウスピースを取り外した状態で行えるので虫歯や歯周病のリスクも抑えることができます。
インビザライン矯正では、マウスピースが水洗いなどを簡単にすることができるので清潔に使うことができ、虫歯や歯周病のリスクを更に抑えることができます。
③歯科医師に指示されたタイミングでマウスピースの交換や保定装置の装着をする
矯正治療法は、歯科医師が作成した治療計画にしたがって治療を進めていきます。治療計画は、治療の途中でも患者さんの経過によっては変更されることがあります。これは患者さんに最適な治療を行うためであり、その計画に従って治療を進めることは後戻りを予防するのにも非常に重要な事です。
患者さんの装置の使用時間が不十分であったり適切に装着できていなかった場合には。後戻りが起こる可能性は非常に高いです。
特に保定期間は後戻りの有無を左右する重要な期間なので、治療期間を短く終わらせる為にも「もうきれいになっているから大丈夫」とは思わず、歯科医師の指示に従って注意点を守り保定装置を装着してください。