こんにちは、管理栄養士の鈴木です。 今回は 肥満・メタボリックシンドロームと歯周病の関連メカニズム についてです。 口腔内の感染と全身の関りの本質的なメカニズムとして、以下の3つがあります。 ①一時的な菌血症の結果として起こる感染症の全身的な影響 ②口腔内細菌毒素の体内循環によって起こる細胞傷害の全身的な影響 ③口腔内細菌によって引き起こされる免疫機構による炎症の全身的な影響 歯周病と肥満・メタボリックシンドロームでは慢性的に体に炎症を引き起こす点で共通しており、双方向的な影響の可能性も指摘されています。 近年、脂肪組織にはマクロファージ(貪食細胞)が多く浸潤、集積していることがわかりました。 そして 肥満者では遊離脂肪酸または歯周病原細菌の内毒素が存在する状況だと、脂肪細胞とマクロファージが協調してIL-6やMCP-1などの炎症性サイトカインを分泌することが分かっています。 MCP-1はマクロファージに対する走化性因子で、マクロファージの脂肪組織への集積を促進します。一方、IL-6は肝臓に流入し肝臓からCRPの分泌を促進させます。 重度の歯周病患者においてはCRP値が上昇し、歯周病治療を行うとその数値は低下することから、歯周病原細菌の内毒素により活性化されたマクロファージは脂肪細胞に集積し、さらにアディポサイトカイン(生体活性物質)の産生が亢進し、炎症反応を増悪させるという図式が考えられています。 また、脂肪細胞を詳しく見ていくと、とりわけ白色肥満組織はアディポサイトカイン、TNF-α、レプチン、アディポネクチン、レジスチンなどの生体活性物質を内分泌するように働く組織であり、歯周病組織反応、歯周組織への感染性などにも影響を与えます。 TNF-α、IL-6などの炎症性サイトカインは歯周組織の炎症で有意にみられるものであるが、糖質や脂肪の代謝に影響を与えることが知られています。 血漿内の総コレステロール値、LDLコレステロールと中性脂肪は歯周病患者においてより高い値が示され、歯周病も高脂血症の危険因子かもしれないと考えられています。高脂血症により引き起こされる白血球の高活性が活性酸素の発生を増加させ、歯周病の進行と関連していると考えられており、歯周病患者における抗酸性化能の減少がインスリン抵抗性をさらに招く可能性が示唆されています。 ◇歯周病が肥満を起こしている可能性を示す一つの動物実験があります。 グラム陰性菌(歯周病原細菌の仲間)の周囲に付着している内毒素をこうせいするLPSを4週間持続的にマウスの皮下に埋め込むと、肝臓と脂肪組織の重量が増し、体重増加がみられた。また、高脂肪食を与えることによって肥満度が増し、インスリン抵抗性を経て糖尿病を発症した。ところが、高脂肪食のみを与えた無菌マウスでは体重増加は認められなかった。 また、歯周病原細菌由来のLPSが非アルコール性脂肪性肝疾患(メタボリックシンドロームと関連が深い)を引き起こす可能性が歯周炎ラットモデルで示されたことや、歯周病原菌P.gの口腔内感染は脂肪性肝炎(肥満と関連性が高い。)を進展させる可能性があることから、歯周病は肥満やメタボリックシンドロームを引き起こす因子の1つである可能性が示唆されています。 少し難しいですが 歯周病と肥満・メタボリックシンドロームとは関連があること、 肥満・メタボリックシンドロームは糖尿病を招くかも知れないこと、 また以前のブログで書きましたが糖尿病と歯周病との関係も大変深いこと・・・ 色々繋がってくるんですね。 身体もお口も両方が健康でありたいですね。 歯科検診を受けて、歯周病が無いかチェックしましょう! 肥満・メタボリックシンドロームの一因を取り除きましょう♪ プルチーノ歯科・矯正歯科でお待ちいたしております☆
こんにちは、管理栄養士の鈴木です。 夏、本番ですね・・・ アイスクリームが おいしい😋季節ですが、食べすぎ注意です☆ (美味しいご褒美を楽しむためにも、日ごろは控えめに・・・ですよ!) さて、お話は前回の続きです。 ①肥満・メタボリックシンドロームの疫学 世界的には5億人の肥満成人がいると推計さていて、さらなる増加が見込まれているそうです。 肥満者が増加することにより、歯周病と関連性が高い糖尿病など、いくつかの重大な疾患から受ける影響が大きくなっています。 肥満は予防できる病気で、死を引き起こす改善可能な第一の原因として考えられています。 日本国内での肥満者率は 男性28.7%、女性21.3%で(平成26年 国民健康・栄養調査)、ここ10年横ばいの状況です。 メタボリックシンドロームにおける有病率、男性25.3%(日本内科学会、1993年)です。 ②肥満・メタボリックシンドロームと全身疾患の関連性(メタボリックドミノ) ●過食や運動不足など生活習慣の乱れから、ドミノ倒しの最初の駒を倒すように肥満やインスリン抵抗性という病態が起きてきます。 ↓ ●次第にドミノは倒れて食後高血糖、高血圧、高脂血症といった生活習慣病を次々と招きます。メタボリックシンドロームの状態です。 ↓ ●メタボリックシンドロームでは比較的軽い病気が複数重なり、さらに年月を経て虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症など、重大な病気を引き起こす可能性が高まります。 ↓ ●こうしてドミノは総倒れとなり、心不全、認知症、脳卒中、下肢切断、透析、失明など重い病気に罹る危険性が非常に高くなります。 このように生活習慣の乱れからメタボリックシンドロームが起こり、病気が重なって一気に血管合併症が起こってくるという考え方がメタボリックドミノです。 ③肥満・メタボリックシンドロームと糖尿病との関連性 血糖値を下げるために膵臓のβ細胞から出るインスリンはインスリン受容体と働き血糖を下げます。肥満になるとインスリン受容体が足りなくなりますが、血糖を適正に保たせようと多くのインスリンを分泌させ膵臓に負担をかけます。また、肥大した脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインがインスリン受容体をブロックしインスリンがうまく働かなくなります。このようにインスリン分泌が盛んになっているにも関わらずインスリンが働きにくくなった状態を“インスリンの抵抗性”と呼びます。 この状態が長く続くと膵臓のβ細胞が疲弊し最終的にインスリン分泌能力が損なわれていきます。そして、血糖を下げる働きが弱っていき2型糖尿病の発症につながります。 肥満とメタボリックシンドロームは普段の生活習慣、食習慣の改善で防ぐことができます。 歯周病も日ごろのブラッシングや、歯科での定期的なケアで防ぐことができます。 食習慣を見直したいけれど、どうしたらいいのかなぁ? 歯科健診にいきたいなぁ! どちらも プルチーノ歯科・矯正歯科にお任せください♪ お待ちいたしております☆
こんにちは、管理栄養士の鈴木です。 今回からは 歯周病と肥満・メタボリックシンドロームについてのお話しです。 まず、はじめに・・・ ここ数十年の間に先進国および発展途上国において多くの肥満者がみられるようになり、また 肥満は死亡率を高める主要な原因であることは良く知られています。 その肥満に加え、メタボリックシンドロームは 抗炎症状態、脂質代謝異常、インスリン抵抗性などを伴い、歯周病との関連性が指摘されるようになりました。 歯周病が、心疾患、糖尿病、関節炎、低体重児出産など、他の全身疾患に悪影響を与える可能性があることは以前のブログでお話していますが、加えて 口腔内のバクテリアが 代謝効率増進、食欲増加、インスリン抵抗性の促進を通じて肥満に寄与している可能性があると考えられています。 では、 ◇肥満とは 健康を損ねるかもしれない程度、過度に体脂肪が蓄積している健康状態を指します。 肥満を診断するために体格指数のBMI(Body Mass Index)が用いられ、日本では25kg /㎡以上を肥満としています。 日本肥満学会は “肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併症が予測される場合で、医学的に減量を必要とする”状態 を肥満症とし、病気として扱うべきと提言しています。 体格指数の出し方と、体格指数に対する身体状態は以下の通りです。 BMI = 体重(kg) ÷ 身長(㎡) BMI 状態 18.5以下 低体重(痩せ) 18.5以上 25未満 普通体重 25以上 30未満 肥満 1度 30以上 35未満 肥満 2度 35以上 40未満 肥満 3度 40以上 肥満 4度 BMIのみでは全身的な評価で 体脂肪分布が評価できない為、腹部肥満を評価するためには腹囲測定も必要です。 (太ってるイメージ、あっぷっぷ。。。) そして、 ◇メタボリックシンドロームとは 内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)であることに加え、 中性脂肪高値・HDLコレステロール低値、血圧高値、空腹時血糖値高値のいずれか2つ以上を併せ持った状態のことを指します。 日本での診断基準は以下の通りです。 項目 基準値 腹部肥満 男性85cm以上 、女性90cm以上 中性脂肪 150mg/dl以上 HDLコレステロール 40mg/dl未満 血圧 収縮期130mmHg以上 / 拡張期85mmHg以上 空腹時血糖値 110mg/dl以上 最近、 健康診断 は受けましたか?少々太っていても、少々数値が悪くても、痛くもかゆくもないので放っておきがちですが、肥満症やメタボリックシンドロームは放っておくと心疾患や脳血管疾患などの重篤疾患につながりかねません。 歯科検診 は受けましたか?歯周病は肥満やメタボリックシンドロームと関連があるのです。 健康診断も、歯科検診もぜひ定期的に受けましょう! 歯科検診はプルチーノ歯科・矯正歯科にお任せください♪ お待ちいたしております☆ 次回は歯周病と肥満・メタボリックシンドロームの続きです。
AGEs第2段!食事コントロールで健康と美貌を手に!
17.07.18
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こんにちは! プルチーノ歯科•副院長の小川です。 美味しいものを食べることが大好きですが、AGEsについて勉強をしていると食べながら、頭の片隅でエネルギーや脂質などを常に考えてしまいます。 先日AGEsについてブログを書きましたが、御理解いただけたでしょうか? →AGEsって知ってますか?歯周病と糖質の関係 今回はAGEsの対策について書きたいと思います。 まず、AGEsは糖とタンパク質が加熱されて生成されますので、AGEsを生成しない調理法を行えばよいのです! ①100℃以上の高温で調理しない! 揚げ物、オーブン料理、電子レンジ、炒め物を繰り返し行うとAGEsが増える原因となります。最近は電子レンジで簡単調理が可能となりましたが、AGEsが増えるので、控えた方がAGEs対策にはオススメです! では、どう調理したらよいでしょうか? 答えは、煮る、蒸す、茹でるといった調理です! そうです、和食です!和食が健康に良いということはよく耳にするお話ですが、AGEs対策に持ってこいの調理法なのです。 でも、美味しいお肉だってお魚だって食べたいですよね。そんな方はあらかじめ低温でソテーすることで、AGEsの発生を抑えることが出来ます♪ ②正しい油の選択を行う。 コレステロールゼロの油など様々な油が出回っていますが、植物油はAGEsを増やす原因になります。植物油に含まれるリノール酸の過剰摂取はアトピー性皮膚炎に繋がるなど様々な疾患をもたらすといわれています。ひまわり油や菜種油、ごま油などの植物油の過剰摂取は気をつけた方がよさそうですね。 そして油を使用する際もコールドスタート(冷たい鍋に油を注いでから火をつける)や油の繰り返し使用を避けることでもAGEs対策になります。揚げ物をする際はたくさん油を使用するので勿体ないですが、濾過では酸化物質やAGEsは除去出来ません。健康のためにも油の繰り返し使用は避けましょう。 調理方法というのは調理する側にゆだねられますが、食べる側の選択でもAGEsを減らすことは出来ます。 ①AGEsをためない食材選び AGEsは血糖値×持続時間という内容を前回書きましたが、糖質の高い食べ物を食べ続ければ勿論AGEsの生成量は増えてしまいます。 “異性化糖(デンプンを酵素又は酸により加水分解して得られた、主としてブドウ糖からなる糖液、別名コーンシロップ)”はAGEsを作る速度が10倍といわれています。お買い物する際に裏側を見てください。お菓子や清涼飲料にたくさん含まれています。 また、冷凍食品やレトルト食品も高温加熱になるのでAGEsを生成しやすくなります。 では、AGEsをためない食材とはなんでしょう? 難しくなりますが、答えは、αリポ酸やスルフォラアン、抗酸化作用のある野菜、クエン酸を含む食材です! 具体的には •αリポ酸‥ほうれん草、トマト、人参、ブロッコリーなど •スルフォラアン‥ブロッコリースプラウト、スーパースプラウト •抗酸化作用のある野菜‥白菜、生姜、カブなど •クエン酸‥レモン、すだち、柚子など その他、大豆やこんにゃく、きのこ、納豆や山芋などのネバネバ系食材、海草類もAGEsを抑えてくれます! 唐揚げやさんまの横にレモンやすだちなど置いてありますが、これはAGEsを抑えるためにも使ってあげるとよいでしょう♡ その他にもノニノニやビート、ワイルドベリー、ブドウ、タマネギの皮、ビタミンK、ハスの実、シナモン、ルイボス、DHA、イソフラボン、エピカテキン、オメガ3脂肪酸も糖化を抑制してくれます。 ②食べ方に注意する。 これが1番何も気にせず楽に行えるかもしれませんね。 •よく噛んで食べる。 •ながら食べを避ける。 •こげたものを食べない。 •タンパク質から食べ、最後に炭水化物を食べる。 •甘い物は食後に食べる。 •食後は就寝まで2~3時間空ける。 カミング30という言葉がありますが、30回は噛んでから飲み込むようにしていただくと消化酵素も分泌されるのでオススメです! ③適度な運動を行う。 食後20分〜30分経過してから、20分~30分程度運動するとよいと言われています。 全てを行うことは難しいかもしれませんが、出来る事から始めてAGEsを減らしましょう! また、補足ではありますが、肌も70%がコラーゲンタンパク質で出来ているのでAGEsを摂取し続けるとくすみ、たるみ、黄ばみとして現れます。紫外線は肌の表層にあるケラチン線維をAGE化するため、UVケアは年中行う必要があります。 特に日差しが強い季節ですから、みなさんお肌のAGEs化をしっかり防いで美肌を目指しましょう。 また、アディポネクチンについてブログを書きたいと思います。
歯周病と周産期合併症 まとめ
17.07.12
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こんにちは、管理栄養士の鈴木です。 まず、歯周病と歯周治療の周産期合併症への影響 ◆ 歯周病 → 周産期合併症 ①歯周病に罹患した妊婦は、早産、低体重児出産、早産低体重児出産、妊娠高血圧腎症のリスクが増加する。 ②炎症性物質、ホルモン、タンパク分解酵素が血行性に胎児に到達して影響を与える可能性がある。 ◆ 歯科治療 → 周産期合併症 ①歯周治療は歯周炎をもつ妊婦の周産期合併症を改善する可能性が低い。 ②歯周治療は妊娠初期か受胎前に行うべきである。 ③妊娠中(もしくは妊娠を望んでいる方)の歯周治療は以下の様に。 〈歯周が正常な場合〉・ブラッシング、歯管清掃(フロス、歯間ブラシ)が重要 〈歯周炎の場合〉歯垢・歯石除去による炎症の抑制 前回、”歯周病の治療と予防は周産期合併症の原因を1つ減らすことになる”という事をお伝えしました。 予防については、歯周病にならないに越したことはありません、妊娠前も妊娠中も、もちろんその後も続けていきましょう。 上記の中にもありますが留意しなければいけないのは、歯周病にかかっている場合の治療の時期。 妊娠中に歯科治療を行うことは局所的、全身的感染のリスクを減らすためには時期が少し遅く、早産を防ぐことにおいては効果が低いようなのです。 ですから、治療は妊娠初期または受胎前に行うことが とても重要なのです。 結婚を機に婦人科で検診を受ける方、妊娠を望んで婦人科にかかる方、いろいろいらっしゃると思いますが、同時に 歯科検診も受けましょう! 健康な口腔環境は、赤ちゃんの健康も育みます ♪ プルチーノ歯科・矯正歯科でお待ちいたしております☆