矯正治療をはじめたら、誰しも自分が思い描く理想の歯並びに胸を膨らせるもの。
しかしその期待も一転、終わってみたら「キレイになるどころか前よりも”出っ歯”になってしまった!」というトラブルに見舞われることも実は少なくありません。
ではなぜこのようなトラブルが起こってしまうのか、以下に詳しくみていきましょう。
矯正治療で”出っ歯”なる原因
矯正治療によって歯並びが以前よりも前に出てしまう(出っ歯になる)といったトラブルは、近年はとくに無理な非抜歯治療をおこなった場合によくみられます。
非抜歯治療とはその文字通り”歯を抜かない矯正治療”のことで、「歯並びをキレイにしたいけど、できるだけ歯は抜きたくない」と希望する方に人気のある治療法です。
そもそも歯並びが悪くなるのは顎と歯の大きさのバランスの悪さがその原因の1つで、これはよく”人(歯)”と”ベンチ(顎)”の関係にたとえられます。デコボコした歯並びはまさに、「5人掛けのベンチに6~7人の人が無理やり座っている」のと同じ状態なわけです。
矯正治療ではこの不自然な状態を正常に戻すために、ベンチ(顎)を大きくしたり、座る人(歯)を減らしたりして歯をキレイに並べていきます。非抜歯治療では座る人(歯)はそのままなので、ベンチ(顎)を大きくすることで歯並びを整えていきます。
ただここで注意したいのは、人にはそれぞれ顔の大きさや形に適した顎の大きさや形があるという点です。
人が十分に座れるほどベンチが大きくなっても、それが道路にまではみ出てしまっては元も子もありません。これと同様に、ただ歯をキレイに並べるためだけに無理に顎を広げれば、口元が不自然に外側へ押し広げられ「出っ歯」や「ゴリラ顔」を生み出してしまいます。
もし矯正治療で”出っ歯”になったら、どうすべき?
「おかしいな?」と思った段階で、担当医にしっかりそのことを伝えられるのが一番ベストといえます。ただそれが難しかったり、担当医がきちんと対応してくれない場合には、”セカンドオピニオン”を求めてみるのも1つの方法です。
セカンドオピニオンとは現在かかっている歯科医とは別の歯科医に求める「第2の意見」で、今の治療に納得できない時や他の治療法を探したい時などには有効な手段となります。
セカンドオピニオンを求める際は、これまでの治療の経過や担当医の話などを、メモをとるなどしてできるだけ細かく伝えられるようにしておきましょう。
矯正治療で失敗しないために知っておきたいこと
まずはどんな治療にも必ずメリットとデメリットがあること、またそのメリットとデメリットは人(歯並び)によって異なることをよく理解しておきましょう。
たとえば先の非抜歯治療では「歯を抜かないこと」が最大のメリットと思われがちですが、これはすべての人にとってのメリットではありません。むしろ歯を抜いたほうが理想的な歯並びに近づきやすく、予後もよいケースも多くあります。
さらにこれらを正しく判断するうえでは、事前に十分な検査をおこない、さらにその結果に基づく綿密な治療プランを立てることがとても重要です。
プルチーノ歯科・矯正歯科では「クリンチェック」というシミュレーションソフトを使い、これから歯がどのように動いていくのかを事前にチェックしていきます。このソフトを使えば、歯を抜く場合と抜かない場合とで仕上がりにどのような違いがあるのかを、治療前に比較・検討することも可能です。
これにくわえて、当院ではレントゲンで骨の状態をよく確認し、シミュレーションした位置に正しく歯が並ぶのかも診断していきます。
矯正治療は、ただ”歯がキレイに並ぶこと”だけがゴールではありません。上辺だけのメリットにとらわれず、自身にとって優先すべきことは何か、どれがベストの治療であるかをよく検討していきましょう。