『八重歯(やえば)』は一般に、全体の歯並びから外側に飛び出したり、他の歯と重なりあったりする犬歯(前から3番目の歯)を意味します。
チャームポイントとして親しまれることもある八重歯ですが、一方で飛び出した犬歯が”牙”のように見えることから、口元の見た目で八重歯を気にする方も少なくありません。
そこで今回は、歯並びの中で『八重歯』だけを治したい場合、部分矯正でも治すことができるのかについてお話していきたいと思います。
症状の軽い八重歯なら部分矯正で治せることも
部分矯正とは前歯の気になる歯並びを治す治療法で、全体矯正よりも治療期間が短く、また費用も安いのが特長です。
八重歯も前歯の一部ですので、奥歯の噛み合わせに問題がなく、比較的症状の軽い八重歯であれば、部分矯正で治療が可能な場合もあります。
具体的な治療法として、一般的なワイヤー矯正のほか、インビザラインのようなマウスピースを使用した治療などが挙げられます。
部分矯正では治せない八重歯
八重歯でも次の項目に当てはまるケースは、部分矯正では治せない可能性が高いといえます。
・奥歯の噛み合わせが悪い
・八重歯を本来の位置に戻すためのスペースが足りない
・八重歯以外にも歯並びの異常(出っ歯・受け口など)がある
・骨格的な問題がある
以上のようなケースでは、部分矯正でも挙げた「ワイヤー矯正」や「マウスピース矯正」などを用いて歯並び全体の治療をおこないます。
なお、八重歯を治すのにスペースが足りない場合は他の歯の抜歯が必要な場合もあるので、詳しい治療内容については担当歯科医に相談してみましょう。
八重歯は矯正治療で治した方がいい?
日本ではかねてより八重歯は「可愛い」というイメージがありますが、歯科医療の観点でいうと八重歯にはデメリットのほうが多いといえます。
その理由の1つは、八重歯は上下の犬歯が噛みあわず、他の前歯や奥歯に負担がかかりやすくなることです。
正しい噛み合わせでは、顎を横にずらすと犬歯のみが合わさり、それ以外の前歯や奥歯が噛み合うことはありません。
犬歯はこのように顎を動かす時に”ガイド”としての働きがあり、他の前歯や奥歯に余計な負担がかからないようにしています。
八重歯ではこのガイドとしての働きがうまく機能しないため、顎を動かす時に他の前歯や奥歯にかかる負担が大きくなります。
また八重歯は他の歯と重なり合っていたり、通常の位置よりも上方にあったりすることから、歯ブラシが当てにくく、細かいすき間に食べかすやプラークが溜まりがちです。
そのため八重歯は通常の歯と比べて、虫歯や歯周病を発症するリスクが高くなります。
以上のことから、長い目でみると八重歯は早いうちに矯正治療で治しておくほうがよいといえるでしょう。